名詞の性の見分け方 2

 例外の少ない規則性から先に挙げて行きます。それを最初に押さえておけば、その後に挙げる規則性の例外から除外できるからです。

 規則性を大きく分けると、次の三つがあります:

  1. 単語の意味によって性別が決まる
  2. 語尾によって性別が決まる
  3. 意味と語尾によって性別が決まる

ただし語尾による場合、語幹と語尾がはっきり区別されるときに限ります。

「-chen」「-lein」で終わる縮小名詞は中性名詞
「語尾によって決まる」場合の代表例として、強制的に中性名詞にしてしまう語尾があります。

  • Mädchen {n}:女の子
  • Fräulein {n}:令嬢

など、小さな、かわいい(かわいそう)、などを表します。それぞれ

  • Magd {f}:乙女
  • Frau {f}:女;妻

に「-chen」「-lein」が付いて変化したものです。基本的に元の意味が少し変わってしまいます。さらに元の意味から離れて、むしろ別の単語と考えられるものもあります。

  • Kaninchen {n}:兎(ウサギ) ← Kanin {n}:兎の毛皮
  • Märchen {n}:おとぎ話 ← Mär {f}:物語

 下記のように物、人、動物、固有名詞などに(話者、著者が勝手に)付けることもできます。こんなところは日本語の「~ちゃん」と似ていますね。

  • Heidichen {n}:ハイディちゃん(「ハイジちゃん」ではない)
  • Fuchslein {n}:キツネくん(おとぎ話などで)

例外:
といって例外ではないのですが、偶然に「-chen」「-lein」で終わり縮小名詞ではない単語もあるので注意が必要です。

  • Kuchen {m}:菓子
  • Drachen {m}:凧(タコ)
  • Kochen {n}:料理
  • Lein {m}:亜麻(アマ)

基本的に「-chen」「-lein」を付ける前の語幹を想像できなければ縮小名詞ではありません。
例えば:
「Lein」は、そもそも語幹、語尾から成り立つ名詞ではないし
「Kuchen」の語幹も、「Ku」というのには無理がある。

男性名詞であっても女性名詞であっても「-chen」「-lein」を付けて縮小名詞にすれば中性名詞になってしまいます。従って縮小名詞は規則の例外には含めません。

参考
縮小名詞の語尾は「-chen」「-lein」ばかりではなく「-el」「-le」「-erl」「-ndl」などがあります。

  • Mandl {n}:小男 ← Mann {m}:男;夫
  • Hendl {n}:若鶏 ← Henne {f}:雌鶏
  • Wuzerl {n}:小太りの子供 ← Butzen {m}:芯(果物の)
  • Wapperl {n}:レッテル,ラベル ← Wappen {m}:紋章,ワッペン

(この稿、続く)