自己紹介の定番の表現として
- Ich heiße Taro Yamada.:私は山田太郎と申します。
- Mein Name ist Taro Yamada.:私(の名前)は山田太郎です。
などがありますが、私の感覚では前者は少しくだけた表現、後者は一般的かつ無難な表現と思います。
ところで、知人にハセ(漢字表記は控える)さんという人がいました。ドイツ人に対して自己紹介するときもっぱら前者を用いた。なぜかと言うと
- Mein Name ist Hase
では、「私は何も知らない(お馬鹿ちゃん)」という意味になるからだ。
- ~, ich weiß von nichts
と続ける場合もあります。これは昔、Victor von Hase(ビクトール・フォン・ハーゼ)という有名な法律家が学生のとき、法廷で
- Mein Name ist Hase; ich verneine alle Fragen; ich weiß von nichts.
「私の名前は Hase、すべての質問を拒否します、私は何も知りません」と発言したことに由来します。これは偽証に当たりますが、友人をかばったことで美談として伝わっています。このフレーズはいつの間にか、質問を受けて答えを知らないときなどに使われるようになりましが。動物の「Hase {f}:兎(ウサギ)」とは関係ありません。
「似たようなフレーズは法廷ではよく使われるはずです、なぜこの人のフレーズだけ残ったのか?」と訊かれると私も
- Mein Name ist Hase
と答えるしかありません。