コラム:変なドイツ語 8

訛りを「変」と形容すべきではないかも知れませんが、「Berliner Dialekt: ベルリン訛り」についてうんちくを傾けます。一般に知られているのが、「g」が「j」に変わることです。江戸っ子が「さ行」と「は行」の区別が付かないのと似ています。

  • jejen = gegen
  • Jäste = Gäste
  • Jarten = Garten
  • jehn = gehen
  • sojar = sogar
  • janz jenoo = ganz genau
  • woll = wohl
  • wat = was
  • keen = kein
  • nee = nein,nicht
  • nich = nicht
  • ick = ich
  • det = dies,diese,das
  • is = ist
  • sacht = sagt(これはベルリンだけではないようです)
  • ~, wa.(「nicht wahr」の意味でしょうか、文末に付けます、南に行けば「~, ger.」になります)

以上、こんなふうに聞こえるというだけで「Berliner: ベルリン人」が実際このように書くかどうかは分かりません。

テレビ番組の1シーン: BerlinはZoo(動物園ではなく鉄道の駅名)の出口で新婚旅行中の日本人夫婦がタクシーを拾います。タクシードライバーはベルリン訛りで
 「Bittschön. Wo soll die Fuhre hinjehn?: どうぞ、どこに行きましょう?」
夫の方が片言のドイツ語で「Nollendorf(因みにそこZooから1キロに満たない)」と告げると
 「Na, det is ja man bloß een Katzensprung von hier!: そこならひとっ走りでさあ!」
テレビシリーズ「Sonntachskonzert」の一場面です(失礼しました、正しくは「Sonntagskonzert(ZDF)」)。音楽に因んだ名所を訪ねてドイツ各地を巡ります。それがベルリンにやってきた訳です。
なぜそんな台詞を覚えているのでしょうか?何を隠そう、その夫の方は若き日のコラム子だからです。もちろんこの両名、役の上で夫婦を演じているだけで結婚はしていません(念のため)。このときのタクシードライバーは知る人ぞ知るオーストリアの名優 Oscar Sabo の息子 Oscar Sabo Jr. でした。なんとこの数週間後に亡くなられました。50代半ばという若さでした。これが遺作だとしたら、それに出演できただけ幸運でした。何度NGを出しても、笑って許してくれました(眼は怖かったけれど)。

(この稿、続く)