Superkalifragilistischexpiallegetisch

ドイツでは外国映画は基本的に吹き替えで上映されます。例外は映画祭の作品やアニメです。サウンド・オブ・ミュージックなどミュージカルも吹き替えではやりすぎ、と思うのは日本人だからでしょうか。ジュリー・アンドリュースが流暢にドイツ語を話すのは良いのですが、歌まで吹き替えられては残念です。あの美声を聞かずに例えばサウンド・オブ・ミュージックを観たと言えるのでしょうか。この作品、タイトルすら「Meine Lieder – meine Träume」と変えられていました。

一部の国で上映されている反日映画は日本人にとって不愉快ですが。この映画も反独(?)と捉えれば、ドイツ人にとって不愉快な作品なのかも知れません。政府からの圧力でしょうか、初演ではドイツに係わる部分、オーストリアからの逃亡など、がカットされたそうです(そこで山を越えてオーストリアから逃亡するカットシーンに一言:その先はドイツですよ、方向を間違っています)。

とは言え、関心することもあります。ジュリー・アンドリュースの吹き替えの声優の歌の上手さは彼女並みです。恐らくオペラ歌手かミュージカルをこなす歌手なのでしょう。またオリジナルのイメージを殺さず歌詞を独訳するのも並大抵なことではなかったでしょう。

もっとも「チキ・チキ・バン・バン」「メリー・ポピンズ」など、子どもも観る映画は吹き替えでも、と言うより、吹き替えの方が良いのかもしれません。「メリー・ポピンズ」と言えば、魔法の呪文「Supercalifragilisticexpialidocious」が有名ですが、これにもドイツ語版があります。「Superkalifragilistischexpiallegetisch」だそうですが、そこまでやるか。なにより翻訳してしまっては魔法の効果がなくなるのでは。