Mechanik は機械か?

 前コラムで「Mechanik」と言う単語について述べましたが、あくまでも非可算名詞としての話です。可算名詞としては別の意味になります。一言で言えば機械や装置の中の動く部分、具体的には原動機、伝導装置、機構などです。「仕掛け/仕組み」「からくり」「メカ」とした方が通りが良いかも知れません。

 この意味ではしばしば「Elektrik」と対比して、あるいは一体となって使われます。例えば自動車という機械を例にとれば、エンジン、トランスミッション、サスペンションなどが「Mechanik」です。それにライト、警笛、ウィンカー、ワイパーなどの「Elektrik」があって初めて自動車は走ります。もっともエンジンにはスパークプラグや噴射ポンプなどの「Elektrik」が必要ですし、その噴射ポンプですら「Mechanik」なしに成立しません。両者一体となっているからです。

 それではこの単語をどう訳すのでしょうか。コラム子が過去に翻訳した例で言うと「機械系」、少し意味が狭まるのですが「機構部」などです。他人の訳文で「機械システム」とした例もありました。いずれにしても「機械」とは訳せません。