ドイツ語の動詞の進行形

とは言えドイツ語には動詞の進行形がありません。英語で言えば[動詞+ing]の形式です1)むしろ英語が特殊なのでしょうか?。もちろん同様の表現は可能です。そこで進行形を使った英文をドイツ語にしてみます。

現在進行形:
 言うまでもなく「未だ終わっていない現在の一時的状況」を表します。

I’m reading a book. / 私は本を読んでいるところです。
 ⇒ Ich lese gerade ein Buch.

現在形に「gerade」などの副詞や副詞句2)その他:im Augenblick、augenblicklich、zur Zeit、jetzt、gegenwärtig、等々を付けます。もう少しを強調したいのであれば「zu不定詞」を用いて

⇒ Ich bin gerade dabai, ein Buch zu lesen.

とも言えます。ドイツ語には進行形がないので当然「fishing:釣り」「cooking:料理」などの動名詞もありません。しかし、そのかわり「Angeln {n}」「Kochen {n}」のように動詞を名詞化できます。慣用句さえも、例えば「Zubettgehen {n}=zu Bett gehen:ベッドに行く」。特に副詞を使わなくとも「am+名詞化した動詞」で進行状態を表せます。この例に応用すると

⇒ Ich bin am Lesen eines Buches.

でしょうか。「読む」と言えば一般に読書でしょうから、状況によっては「Ich bin am Lesen.」で事足ります。

 「未だ終わっていない現在までの長期的継続」も現在進行形で表わします、例えば:

I’m reading The Capital. / 私は資本論を読んでいます。
 ⇒ Ich lese (seit langem) Das Kapital.

嘘つきを見分けるテスト問題というのがあって、そのひとつが「資本論を読みましたか?」だそうです。「読んだことがある」と「読んだ」とは大違いです。これは一朝一夕で読める代物ではないのに「読んだ」と言い切った人には嘘つきの才能があるということです。従って「seit langem」と言い添えなくとも、腰を据えて読み続けている、すなわち長期的継続をしていることが分かります。その発言の瞬間に読んでいなくても、日常に読んでいるはずです。力づくで表現すれば

⇒ Ich bin im Lesen des Kapital begriffen.
⇒ Ich befasse mich mit dem Lesen des Kapital.

でしょうか。しかし、ここまですると仕事や研究で資本論を読んでいる感じではあります。

 現在進行形と言って良いのでしょうか「近い未来」を表す[ing]形です:

 I’m going to become a doctor. / 私は医者になります。
 ⇒ Ich werde Arzt werden.
実際には
 ⇒ Ich werde Arzt.
と言うのが自然です。

これは単に未来形と解釈した文ですが、抱負として述べたいならば。

⇒ Ich will Arzt werden.

でしょう。
 次の英文も、近い未来を表します。

I’m coming. / 今、行きます。
 ⇒ Ich komme gleich.

英独どちらの文も、行動を起こす前にも、行動中にも使えます。

⇒ Ich komme.

では単に「行く」で、行動を起こす前の表現になってしまいます。やはり副詞は大事です。

(この稿続く)

References   [ + ]

1. むしろ英語が特殊なのでしょうか?
2. その他:im Augenblick、augenblicklich、zur Zeit、jetzt、gegenwärtig、等々