雄の動物は男性名詞
人間から動物の性に移ります。野生の動物の場合は必要がないからでしょうか、雌雄を区別される動物を集めてみるとやはり家畜が多いようです。
動物の名詞の性には男性、女性、中性があり、名詞の性と動物の性が一致するとは限りません。例えば「Hirsch {m}:鹿」は男性名詞であっても動物の種類を表すに過ぎません。どうしても牡鹿(オジカ)と言いたければ、牡獣を意味する「Bock {m}」を後ろに付けて「Hirschbock {m}」とします。これは、雄、雌、牡、牝の漢字を動物の名前の前に足して雌雄を表す日本語と似ています。鳥の場合、例えば「Fasan {m}:雉(キジ)」の雄は、本来はニワトリの雄鳥を意味する「Hahn {m}:雄鳥」を後ろに付けて「Fasanhahn {m}」とします。ただ組み合わせられるのは、ニワトリのたぐい(「キジ目」というそうだ)の鳥に限られます。
- Stier {m}:種牛
- Ochse {m}:雄牛(去勢した)
- Kater {m}:雄猫
- Hahn {m}:雄鶏;雄鳥(キジ目の)
- Eber {m}:種豚
- Hengst {m}:種馬
- Bock {m}:牡獣(特に有蹄類の),雄獣
例外:
- Vatertier {n}:雄親(ユウシン)
語尾の「~tier」が中性なので仕方がないのですが。
雌の動物は女性名詞
「Kuh {f}:牛」と「Katze {f}:猫」は動物の種類としての意味と雌(メス)の猫の意味があります。それ以外、哺乳類一般の「牝獣」をも示すので「Hirsch {m}:鹿」の後ろに付けて「Hirschkuh {f}」として先の例とは逆に牝鹿の意味にすることもできます。
- Kuh {f}:牛;牝牛,乳牛;牝獣(特に有蹄類の),雌獣
- Katze {f}:猫;雌猫
- Henne {f}:雌鶏(キジ目の)
- Sau {f}:雌豚
例外:
- Muttertier {n}:雌親(メスオヤ)
先の「Vatertier」の例と同じです。
人間や動物の子供は中性
子供はまだ雌雄の差が目立たないためか中性になります。「Kitz {n}」は単独で「Reh {n}:ノロ鹿」「Gämse {f}:シャモア」「Ziege {f}:山羊(ヤギ)」の子供を示す以外に、例えば「Hirsch {m}:鹿」と組み合わせて「Hirschkitz {n}」として子鹿の意味にすることができます。「Küken {n}」はそのまま鳥に当てはまります。単独では、一般に鶏(ニワトリ)の雛(ヒナ)を示すのですが、例えば「Falke {m}:鷹」の後ろに「Küken {n}」を付ければ「Falkenküken {n}」として鷹のヒナの意味になります。鳥の種類が解らなければ「Vogel {m}:鳥」の後ろに付ければ「Vogelküken {n}」とその鳥のヒナになります。
- Kind {n}:子供
- Baby {n}:赤ちゃん
- Kalb {n}:子牛,仔牛
- Küken {n}:雛(ヒナ,ヒヨコ)
- Kitten {n}:子猫,仔猫
- Lamm {n}:子羊
- Fohlen {n}:子馬
- Junges {n}:幼獣
- Kitz {n}:ノロ鹿,シャモア,山羊の子
例外:
- Kitze {f}:「Kitz {n}」と同じ意味で女性名詞(といってメスとは限らない)
- Welpe {m}:犬,狼,狐の子
「名詞の性の見分け方 3~4」の稿をまとめると
- 「人や動物の
- 男性、雄を表すものは男性名詞、
- 女性、雌を表すものは女性名詞、
- ただし子供は中性名詞」
となります。
参考
当たり前過ぎて意識することはないのですが、男性の名前は男性名詞、女性の名前は女性名詞になります。もちろんこれは名前なので、子供のとき中性名詞になることもありません。
- Hans {m}:ハンス
- Karl {m}:カール
- Brigitte {f}:ブリジッテ
- Johanna {f}:ヨハンナ
日本の名前「Taro」「Hanako」もそれぞれ男性名詞、女性名詞になります。
(この稿、続く)