船舶やロボットの姿勢計測や制御,天文計算等々で,これまで有限回転という問題にたびたび出会ってきました.これをひとことで言うと対象物の姿勢の変化または姿勢そのものを表わす3行3列の行列を作ることです.二次元でも容易ではないのに,三次元になるとまたさらに難しくなります.
先人達の知恵である書籍に頼りたいところですが,エンジニアリングの世界には,重要な割には書籍にすらならない問題が多くあって,これもその一つでしょうか.物体の角度と姿勢の関係が分からなければロケットは飛びません,ロボットアームは何もつかめません.熟知している人は必ずいて手法も確立しているはずです.そういった人に言わせれば,そんなことは書籍にする程ではなく,せいぜい論文,いえその Appendix のレベルなのでしょう.
だれも書かないならばと,このコラム子が腰を上げることにしました.きっとこの問題はブログのレベルではあるのでしょうから.今まで係わった有限回転の問題とその解決方法を覚えている限り書き記します.将来または今現在すでに,有限回転に関する解析に従事する人は苦労する前に読んで参考にしてください.書く側の数学の素養も怪しいのですが,読むには,ベクトル解析,線形代数,微分積分などの解析学の知識が必要です.
(この投稿,実は二回目です.最初は数式を WordPress 用の Tex で書いたのですが,原稿が表示されるまでの時間が長過ぎて使い物になりません.試行錯誤の末,原稿をいったん pdf に書いてそれを投稿に埋め込むということにしました.こんな例は見たことがなく,お世辞にも「美しく表示されている」とは言えないのですが,他に良い方法が思い付きません.なお埋め込んだ pdf はダウンロードできます.)