間違いやすいドイツ語の表現

 これからドイツ語圏の国に行く人やドイツ語を学び始めた人に、日本人が間違いやすいドイツ語の表現をレクチャーします(かなり上から目線であることは承知しております)。一部の人にとっては当たり前かもしれませんが。

Datum {n} / 日付:
 これを年月日と言うくらいですから、日本語で日付は1999年2月1日の様に大きな括りから小さな括りの順に話したり書いたりします。ドイツ語では逆になります。上の例では
  1. Februar 1999
  1. Feb. 1999
  1.2.1999
このような日付に生まれた人は気を付けましょう。書き方を英風和式で書くと1月2日生れと誤解されます。

Stockwerk {n} / 階:
 コンピュータープログラマーであればゼロオリジンという言葉を知っておられるかと思いますが、ドイツ語の建物の階の数え方は正にこれです。日本語の二階はドイツ語では「erster Stock」で言わば1番目の階、三階は「zweiter Stock」で言わば2番目の階、以降同様に日本語の階とは1階ずつずれます。簡単に言えば建物の階を上る回数で階を数えます。ゼロに当たる「一階」は「Erdgeschoss {n}」と言います。注意すべきは三階建ての家は「dreistöckiges Haus」となり「zweistöckiges Haus」とは言わないことです。
 地下一階は日本と同じ数え方で「erstes Tiefgeschoss(Untergeschoss)」になります。

Dezimaltrennzeichen {n} / 小数点 :
 言わずもがな「Komma {n}/コンマ『,』」は文章の文節を区切るときに使います。ドイツではこれを小数点にも使います。例えば円周率は「3,14・・・」と書きます。日本では小数点には「点『.』」を使い、円周率は「3.14・・・」となるのは我々承知のことです。
 では「Punkt {m}」は何に使うでしょうか。文章の文末に使うのはもちろんのこと,千以上の数の3桁毎の区切りにも使います。例えば千5百ユーロは「€1.500,-」ですから、日本と逆になります。
 ここまでは異論がないはずですが、日本では小数点をコンマと呼ぶ文化が残っています。例えば、アナログ温度計で室温を読み取るとき、水銀柱が20℃と21℃の丁度中間にあれば、ほとんどの人は20コンマ5と読むはずです。「##.5」は、なぜかてん5と読まれる方がむしろ希になっています。
 板金の業界で「てんいち」は「1.1mm」の厚さの金属板です。また「コンマいち」は「0.5mm」の厚さになります。一部の業界と言えども、こんな日本語の曖昧さは不思議です。

Menü {n} / メニュー?:
 日本でレストランでメニューと言えば,献立表ですが,ドイツでは「Menü」はコース料理、転じて店のお勧め料理や定食になります。まさかとは思いますが,献立表が欲しくて「Menü, bitte!」などとウェイターに頼めば頼んでもない料理を持って来るかも知れません。ちなみに献立表は「Speisekarte {f}」です。

Fußball {m} / フットボール?:
 サッカーのことです。足を使うからです。日本でフットボールと言えば、手を使うアメリカンフットボールを指すことが多いのではないでしょうか。ドイツではアメフトを「Fußball」の一種とは認めてはいません。手を使うからです。これは「American Football {m}」であって「Amerikanischer Fußball {m}」ではないと言うことです。

Patientenakte {f} / カルテ:
 病院で患者の診療歴を記録する書類です。調べてみると「診療録」が本来の呼び名です。ところが看護師の友人によれば、やはり「カルテ」の方がメジャーだそうです。なぜドイツで使われない表現が日本語化したのでしょうか。

Kraftstoffverbrauch {m} / 燃費:
 車の性能を示す数値のひとつです。「リッター何々キロ」という表現で分かるように日本の燃費は、1リットルの燃料で走行できるキロメートル数です。単位は「km/L」です。この数値が大きい程、経済的,エコ性能が高いと言えます。ところがドイツの「Kraftstoffverbrauch」は100km 走るのに必要な燃料のリットル数です。単位は「L/100km」ですから日本の燃費とは逆比例します。逆比例するからと言って、測定方法の違いから相互の変換はできません。

この稿おわり