「男性(雄)を表す名詞」を「女性(雌)を表す名詞」に変える語尾変化についての続編です。
「-mann」を「-frau」に置き換えて女性化:
Obmann {m} ⇒ Obfrau {f}:代表者
Landsmann {m} ⇒ Landsfrau {f}:同国人
Zimmermann {m} ⇒ Zimmerfrau {f}:大工
ちなみに複数では「Obleute」「Landsleute」「Zimmerleute」です。またそれぞれ
Obmann {m} ⇒ Obmännin {f}:
Landsmann {m} ⇒ Landsmännin {f}
Zimmermann {m} ⇒ Zimmerin {f}
とも言うそうです。ちなみに「Zimmermann=Zimmerer」です。
ドイツには女性のサンタクロースもいるようです。はたして白ひげは生やしているのでしょうか。
Weihnachtsmann {m} ⇒ Weihnachtsfrau {f}
「-vater」を「-mutter」に置き換えて女性化:
Herbergsvater {m} ⇒ Herbergsmutter {f}:ユースホステルの主人
Hausvater {m} ⇒ Hausmutter {f}:戸主
Doktorvater {m} ⇒ Doktormutter {f}:学位論文指導教官
「-mann」⇒「-frau」、「-vater」⇒「-mutter」と続けば、「-herr」⇒「-dame」になるのでは、と考えるのは早計です。
「-herr」で終わる場合は
Hausherr {m} ⇒ Hausherrin {f}:戸主
Feldherr {m} ⇒ Feldherrin {f}:司令官
となります。
語尾に「-weibchen」を付けて女性化:
これは童話などでよく見られます。
Sperling {m} ⇒ Sperlingsweibchen {n}:雀
Leopard {m} ⇒ Leopardenweibchen {n}:豹
Elefant {m} ⇒ Elefantenweibchen {n}:象
難問ひとつ:「『Erdmännchen {n}:ミーアキャット』の雌は何と呼ぶのでしょうか?」。あえて日本語に訳せば「地底男」でしょうか。その名が既に男であると語っています。少し滑稽ですが「weiblich」で修飾して
weibliches Erdmännchen {n}
とするか、語尾に「-weibchen」を付けて
Erdmännchen-Weibchen {n}
とします。
前稿の例のように女性形がない男性名詞もあります。これらの名詞は女性をも表すからです。女性であることを強調するならば形容詞の「weiblich」で修飾します。
Neuling {m} ⇒ weiblicher Neuling {m}: 新人,初心者
Lehrling {m} ⇒ weiblicher Lehrling {m}: 見習い、実習生
Liebling {m} ⇒ weiblicher Liebling {m}: 愛しい人
「Lieblingsfrau {f}」とは言いますが、呼びかけは男女どちらも「Liebling!:ダーリン!」です。
規則性を探すと常に例外が見つかり頭を悩ませます。同じ語尾でも次の単語には女性形があります。
Flüchtling {m} ⇒ Flüchtlingin {f}:逃亡者,難民,亡命者
(英語を起源とするからでしょうか)規則性がないもの
Akteur {m} ⇒ Aktrice {f}:男優 ⇒ 女優
Steward {m} ⇒ Stewardess {f}:スチュワーデス
どちらもあまり使われていません。今では
Flugbegleiter {m} ⇒ Flugbegleiterin {f}:客室乗務員
が一般です。その他、「Airhostess {f}」とも言います。なぜか「Airhost」はドイツ語化されていません。
(この稿、続く)