訛りを「変」と形容すべきではないかも知れませんが、「Berliner Dialekt: ベルリン訛り」についてうんちくを傾けます。一般に知られているのが、「g」が「j」に変わることです。江戸っ子が「さ行」と「は行」の区別が付かないのと似ています。
- jejen = gegen
- Jäste = Gäste
- Jarten = Garten
- jehn = gehen
- sojar = sogar
- janz jenoo = ganz genau
- woll = wohl
- wat = was
- keen = kein
- nee = nein,nicht
- nich = nicht
- ick = ich
- det = dies,diese,das
- is = ist
- sacht = sagt(これはベルリンだけではないようです)
- ~, wa.(「nicht wahr」の意味でしょうか、文末に付けます、南に行けば「~, ger.」になります)
以上、こんなふうに聞こえるというだけで「Berliner: ベルリン人」が実際このように書くかどうかは分かりません。
テレビ番組の1シーン: BerlinはZoo(動物園ではなく鉄道の駅名)の出口で新婚旅行中の日本人夫婦がタクシーを拾います。タクシードライバーはベルリン訛りで
「Bittschön. Wo soll die Fuhre hinjehn?: どうぞ、どこに行きましょう?」
夫の方が片言のドイツ語で「Nollendorf(因みにそこZooから1キロに満たない)」と告げると
「Na, det is ja man bloß een Katzensprung von hier!: そこならひとっ走りでさあ!」
テレビシリーズ「Sonntachskonzert」の一場面です(失礼しました、正しくは「Sonntagskonzert(ZDF)」)。音楽に因んだ名所を訪ねてドイツ各地を巡ります。それがベルリンにやってきた訳です。
なぜそんな台詞を覚えているのでしょうか?何を隠そう、その夫の方は若き日のコラム子だからです。もちろんこの両名、役の上で夫婦を演じているだけで結婚はしていません(念のため)。このときのタクシードライバーは知る人ぞ知るオーストリアの名優 Oscar Sabo の息子 Oscar Sabo Jr. でした。なんとこの数週間後に亡くなられました。50代半ばという若さでした。これが遺作だとしたら、それに出演できただけ幸運でした。何度NGを出しても、笑って許してくれました(眼は怖かったけれど)。
(この稿、続く)