「変なドイツ語」も若干の単語のつもりが、あれもこれもとシリーズ(?)の様になってしまいました。
- Datei {f}:ファイル,綴じ込み帳
- 同じ種類の「Dokument {n}:文書」や「Daten {pl}:データ」をまとめて綴じたり挟んだりしたもの、すなわちファイルです。コンピューターが普及すると共に新しくでき上がった単語です。事実、手持ちの古い独和辞典には載っていません。
- コンピューターの世界では「elektronische Datei:電子ファイル」を指します。これには「Dokumentdatei:文書ファイル」はもちろん、「ausführbare Datei:実行ファイル」「Audiodatei:オーディオファイル」「Grafikdatei:画像ファイル」など綴じることや挟むこととは縁の無いものまで含まれています。電子ファイルには、ほぼ同じ意味の英語「File {n}/{m}」を使うこともあります。
- Kartei {f}:カードファイル,カードインデックス
- 同じ種類の「Daten:データ」をまとめると Datei、同じ種類の「Karte:カード」をまとめると Kartei になります。というより Kartei を元に Datei という単語ができたようです。今は電子化されていると思いますが、図書館などの図書目録や索引として使われていました。コンピューターの出現により、Datei が生まれ Kartei が無くなりつつあるということでしょうか。
- 病院で使う診療録の別名のカルテが和製ドイツ語であることは、コラムのどこかで述べたと思いますが、カルテは患者毎の記録文書、すなわちデータをまとめたものなので Kartei ではなく Datei です。ましてやKarteではありません。
- Frankfurter {f}/{n}:フランクフルト(ソーセージ)
- 「Frankfurter Wurst {f}」または「Frankfurter Würstchen {n}」を省略したものです。豚肉を香辛料と共に豚の腸に詰めて作ったソーセージの総称です。ブランド名ではなく、発祥地のフランクフルトの名を冠しているだけです。厳密には Frankfurt am Main で作られたソーセージだけを指します。
- レシピは異なりますが「Wien:ウィーン」で作られたソーセージ「Wiener {f}:ウィンナ(ソーセージ)」などもまた Frankfurter を源流とします。現地ウィーンの人はなんと Frankfurter と呼ぶこともあるそうです。一部のドイツ語圏では「Brühwurst:加熱ソーセージ」の代名詞にもなっているということです。そういえば、日本でウィンナと言えばソーセージを示しますよね。
- Satsuma {f}:温州みかん
- 九州の薩摩(さつま)が由来です。アメリカ大使館館員が薩摩からアメリカに温州みかんを持ち込んだことから、まずアメリカで広まり、Satsuma と呼ばれ、それがいつの間にか西ドイツに渡ったようです。残念ながら、発音は「サツマ」ではなく「ザツマ(アクセントは『u』)」になっています。ドイツ市場にあるものは安価なので、ドイツ産と推察するのですが、ご存知の方はぜひ一報ください。
(この稿、続く)