基本的に船名は女性名詞になります。
その理由については諸説あるそうです:船を表すラテン語「navis」、古代ギリシャ語「ναυς」が共に女性名詞であること、代名詞では船を「she」と呼ぶ英国の習慣に倣ったことなどです。ただドイツ語で船を表す名詞「Schiff {n},Boot {n},Kahn {m}」がどれも女性名詞でないのは、どう考えたら良いのでしょう。ラテン語を祖とするフランス語でさえも「navire:船」は男性名詞です。どうやら船の名詞としての性とその名前の性は関係ないようです。これは船に限らない話です。
古代エジプでは、船は幸運を運ぶ女性的存在だったようです。そこまで遡らなくとも中世、男社会の船中で、船員たちが自分達を支える船に女性(母性)を感じたとしても不思議ではありません。フィギュアヘッド(船首像)も女性像が多いと聞きます。
原因調査はこの辺りで止めておきましょう。船名が女性名詞になる理由を知る必要はありません、この稿の目的はそのルール自体だからです。
Bismarck、Newton、Edisonなど男性の偉人も、Bremen、Hamburg、Yamatoなど本来中性であるべき地名も船の名前に変われば女性名詞になります。かなり執拗なルールなので恐らく例外はないでしょう。
船名は女性名詞
- Bismarck {f}:ビスマルク(戦艦)
- Gorch Fock {f}:ゴルヒフォック(帆船)
- Bremen {f}:ブレーメン(旅客船)
- Altmark {f}:アルトマルク(タンカー)
- Nautilus {f}:ノーチラス(架空の/実在の潜水艦)
日本の船も
- Yamato {f}:戦艦大和
- Uchū Senkan Yamato {f}:宇宙戦艦大和(架空の戦艦)
- Nippon Maru {f}:日本丸(帆船)
(この稿、続く)